VALORANT Champions Shanghai:最も柔軟な選手とワントリック傾向が強い選手たち
柔軟性はVALORANTプレイヤーにとって大きな強みの1つだが、その意味はすべての選手にとって同じではない。選手の柔軟性は、担当するロールや現在のメタによって大きく左右される。特定のエージェントが非常に強力な場合、より広いエージェントプールを持っていたとしても、多くの場面でそのエージェントを選ぶことが求められる。
これはプロシーンでは特に珍しくない。選手たちは単純に好きなエージェントを選んでいるわけではなく、マップ、コンポジション、チームの戦略に最適な選択肢を使うことが多い。そのため、エージェントプールが狭いことが必ずしも弱点になるわけではない。長期間にわたって価値を保つエージェントも存在し、特定のロールに特化することで、その選手ならではの強みを築くこともできる。一方、複数のロールやエージェントを使い分けられる選手は、チームにさらなる柔軟性をもたらし、より幅広いコンポジションや戦略を可能にする。
VALORANT Champions Tour 2026 - Champions Shanghaiの開幕が迫るなか、今回はエージェントプールの広さとロールの柔軟性に優れた選手を見ていく。このランキングでは、単純に使用したエージェント数だけを評価しているわけではない。エージェントの多様性、対応できるロールの数、そして最も使用しているエージェントへの依存度も柔軟性を判断する要素としている。
最も柔軟なプレイヤー TOP10
TYL slowly
Sun "slowly" Kelunは、Champions Shanghai屈指のフレックスプレイヤーと言っていいだろう。この中国人選手は4つの異なるロールで14種類のエージェントを使用しており、ほぼあらゆるコンポジションに対応できる選択肢をチームにもたらしている。
slowlyの柔軟性は、単にエージェントプールが広いだけではない。チームが必要とするロールを幅広く担えることを証明しており、大会でも特に多才な選手の1人だ。その幅広さによってTYLOOはコンポジションを組む際の自由度が高まり、ほかの選手に不慣れな役割を任せることなく、slowlyの担当を変えることができる。
GE Autumn
Kale "autumn" Dunneはチェンバーでよく知られているが、今大会でも特に完成度の高い選手の1人だ。主にサブデュエリストやセンチネルを担当し、フェニックス、ヨル、チェンバー、サイファーなどを使用してきた。
一方で、必要に応じて別の役割を担う柔軟性も見せている。コントローラーをプレイできるほか、ジェットではエントリー役を務めることも可能だ。
JDG Jkuro
Yeung "jkuro" Ho-chungもslowlyと同様、4つの異なるロールを経験している。最も使用しているエージェントはレイズとオーメンで、その後にサイファーとジェットが続く。
そのためJikuroは、プレイスタイルを大きく変えることなく、性質の異なるロールを行き来できる。幅広いプールはJD Gamingがコンポジションを組む際の自由度も高めており、マップや周囲のエージェントに応じて担当する役割を変更できる。
TL Kicks
Kimmie "Kicks" Laasnerは11種類のエージェントを使用しており、エージェント数ではJikuro、Autumnと並んでいる。ただし、それぞれの使用試合数を見ると事情は大きく異なる。
最も多いのはオーメンの28試合で、続いてスカイが11試合、ブリーチが9試合となっている。数字だけを見れば広いプールを持っているものの、Kicksにはオーメンとコントローラーを中心とした明確なプレイスタイルがある。エージェントの種類だけでは柔軟性のすべてを判断できないことを示す好例だ。必要に応じて複数のエージェントを使える一方、最大の強みは依然としてコントローラーにある。
LOUD Darker
Sebastián "Darker" Cicuamiaは、このランキングで4つのロールを経験している3人目の選手だが、その柔軟性のなかにも明確な得意分野がある。最も使用しているエージェントはオーメンで、ヴァイス、ヴァイパーが続く。
エージェントプールは広く、エントリーデュエリストを担当したこともあるが、コントローラーとセンチネルを軸としたプレイスタイルを維持している。多様性と専門性を併せ持つDarkerは、Champions Shanghaiでも注目したい選手だ。
ランキング入りしたその他の選手
そのほかの選手もDarkerに近い柔軟性を持っているが、なかでも触れておきたい選手が何人かいる。7位のJason "f0rsakeN" Susantoは、プロキャリアを通じてゲーム内の全エージェントを使用したことで知られている。また、Tier 1でミクスを使用した唯一の選手でもある。
Ethan "Ethan" Cole ArnoldやXavier "xavi8k" Juanといった選手も、コントローラーからデュエリストまで3つのロールで高い対応力を見せている。
ワントリック傾向が強いプレイヤー TOP10
FUT s0pp
Efe "s0pp" Turは過去6カ月、ほぼネオンとジェットだけを使用してきたが、まさにそれこそFUT Esportsが彼に求めているものだ。このトルコ人プレイヤーはチームのエントリーデュエリストとして高いパフォーマンスを見せており、狭いエージェントプールもアグレッシブなエントリーに適したピックで構成されている。
FUTにとって、この専門性は選択肢を狭めるものではない。安定してエリアを確保し、突破口を作る役割を任せられる選手がいることが、チームの強みになっている。
100T Vora
Jordan "vora" Pulwerが過去6カ月で使用したエージェントはわずか4種類で、62マップ中35マップでソーヴァを使用している。エージェントプールは情報収集を重視するイニシエーターに大きく偏っており、2番目に使用回数が多いのはフェイドだ。
この狭いプールによってVoraは自身のロールに特化し、得意なエージェントから最大限の価値を引き出している。さまざまな役割を担当するのではなく、情報収集やロールに求められるユーティリティーへ集中できる。
G2 valyn
Jacob "valyn" Batioはオーメンとアストラでよく知られており、この2体が圧倒的に使用回数の多いエージェントとなっている。これは必ずしも本人の選択肢が狭いからではない。グローバルに影響を与えられるユーティリティーを持つ両エージェントは、現在のメタに適した数少ないコントローラーでもある。
KC suygetsu
Dmitrii "SUYGETSU" Iliushinのエージェントプールはセンチネルに大きく寄っており、これまでも守備面に強みを持つ選手として知られてきた。過去6カ月で使用したのはサイファー、アストラ、ヴァイパー、ヴァイスのみで、ゲーム内での役割は非常に明確だ。
TL nAts
Ayaz "nAts" Akhmetshinは、まさにnAtsらしい構成となっている。ロシア出身のキャプテンが主に使用しているのは、自身を象徴する2体のエージェント、ヴァイパーとサイファーだ。それ以外ではキルジョイを数試合、ヴァイスを1試合使用している。しかし、過去6カ月の試合の半数以上はサイファーとなっている。
ランキング入りしたその他の選手
このランキングに入ったほかの選手も、複数のロールを柔軟に担当するというより、基本的には1つのロールに特化している。例外はLogan "skuba" JenkinsとMatthew "Cryocells" Dylan Panganibanで、前者はコントローラーとセンチネル、後者はデュエリストとセンチネルを使い分けている。
使用集中度で見るワントリック TOP10
「柔軟性が低い」選手にもさまざまなタイプが存在する。たとえばDastan "dos9" Zhumagaliは過去6カ月で7種類のエージェントを使用しているが、試合の**67.2%**でオーメンを使用している。エージェントプール自体は広いものの、実質的にはワントリックに近い選手だ。
このランキングに入ったほかの選手にも同じことが言える。複数のエージェントをプレイできるからといって、必ずしも多様性を優先する必要はない。Burak "LêwN" Alkanのネオンはその好例で、このエージェントはEMEAでの成功を支える中心的な存在となってきた。Peter "Asuna" Mazurykのフェニックスにも同じことが言える。
このことからも、単純に使用したエージェント数を数えるだけでは、選手の柔軟性を完全には判断できないことが分かる。柔軟性を測る方法はいくつかある。エージェントの多様性はどれだけ多くのピックを扱えるか、ロールの幅はどれだけ異なる役割を担えるか、そして使用集中度は得意なエージェント以外を実際にどれほど選んでいるかを示す。
この3つを合わせて見ることで、単一の数字だけでは分からない選手像が見えてくる。5種類や7種類のエージェントをプールに持っていても、1体のシグネチャーピックに大きく依存している選手はいる。この場合、柔軟性を見るうえで重要なのはプレイできるエージェントの数ではなく、自身の最も得意な選択肢からどの程度離れることができる、あるいは求められているかだ。
柔軟性が低い選手のなかにも、複数のエージェントを使用できる一方で、シグネチャーピックを使ったときに最も輝くタイプがいる。また、複数のエージェントに特化していても、担当ロール自体は1つに限定されている選手もいる。そのため、「ワントリック」と呼ばれる選手にも1つの形しかないわけではない。1体のエージェントによって特徴づけられる選手もいれば、1つのロールや少数のエージェント群によって特徴づけられる選手もいる。
今回分析したデータが示しているのは、柔軟性が低いことが必ずしも不利ではないということだ。2~3体のエージェントに特化することで、それぞれのアビリティーから最大限の価値を引き出す方法を習得し、自身のロールで非常に高い効果を発揮できる。プロシーンでは、こうした専門性がチームに安定感をもたらし、選手が熟知したエージェントを中心にプレイスタイルを構築することも可能になる。
一方、slowlyのような選手は、エージェント選択やコンポジションにおいてチームへより大きな創造性をもたらす。どちらのアプローチにも価値があるが、チームが戦略を構築するうえで提供する選択肢は大きく異なる。
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アイキャッチ画像:Riot Games
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